10月28日、政府から経済対策が発表。一般会計に含まれる補正予算が29兆1000億円という超巨大な経済対策で、物価高や電気・ガス代、ガソリン代の負担軽減などを行う予定となっている。
新型コロナウィルス以後、30兆円規模の補正予算を組むことが当たり前になりつつある。が、明らかにこれは健全な姿勢とは言い難い。扱う額が大きくなるほどムダが出てしまうことは予想に難くない。加えて公的な予算というものは一度増えるとどうしても減る方向には向かわないものだ。残った金はプールして翌年度以降に回ってしまう。
さらに最近のウクライナ侵攻におけるロシア対策に代表されるように、防衛費の増額も行われている。元々日本の財政というのは巨大な借金を背負っている中で運営されており、それに加えてこういった最近の事象を加味すると、岸田内閣がこれからも続いていく中で、やはり増税の未来は避けられないことになるだろう。
様々なニュースサイトなどにおいて、どのような増税が考えられるかがまとめられているが、ざっと読んだだけではわかりにくい。本記事では私自身がニュースやネットで調べた情報から、増税の内容について簡単にまとめていく。ひとつ参考にでもしていただければ幸いである。
消費税増税
まずは一番身近なところで消費税の引き上げが考えられる。IMFの「2019年対日4条協議終了にあたっての声明」の資料において、日本は消費税率を2030年までに15%、2050年までに20%に引き上げる必要がある、との旨が記載されている。
元々この増税については日本の高齢化社会のコストへの対応という名目だが、この記載を理由に前倒しという形での増税が懸念される。
道路利用税の導入
道路利用税は名称の通り、道路の利用に際して税金を取るというもの。EV(電気自動車)は車体重量が重いため、道路への負荷が大きいことから、課税の検討がされている。
しかし、元々自動車の税制には自動車の重量に応じて課税される「自動車重量税」が存在しており、ややもすると二重課税となるのではないかという問題点がある。
またEVに対しては現在の税制では税金が低く抑えられており、道路利用税ではなく「走行距離税」という形で税を課すなどの検討もある。いずれにせよEVに対する税金負担が重くなることが予想される。走行距離税については下記の記事も参照。
炭素税の導入
炭素税とはCO2を排出量に応じて企業や個人に課税される税金のこと。世界ではEU諸国などで主に導入されており、二酸化炭素の排出量削減に寄与している。
日本でも環境対策として「地球温暖化対策税」が導入されているが、EU諸国で運用されている炭素税と比較すると税率は10分の1以下。EUで国境炭素税が導入されるのに合わせ、炭素税の導入を本格的に実施していく可能性がある。
国境炭素税(CBAM)とは
輸入品に対して炭素排出量に応じた税金をかける税制度。現在の炭素排出の問題点として、国内企業が環境規制の緩い国外の地域に工場などを移すことで、国内では炭素排出量が減ったように見えても、地球全体では炭素排出量が減らないという状況がある。
国外から国内への製品の持ち込みに際して税金をかけることで、これを防ぐというのが国境炭素税の目的。
相続税の税制改定
まず相続税の税制を語る前に、暦年贈与について解説したい。暦年贈与とは1年間で、贈与額が110万円以下ならば贈与税がかからないという贈与の方法を指す。
これによって毎年、110万円以下であれば非課税でお金を動かすことが出来るため、相続税がかかる分の財産を圧縮することができ、相続税の対策として有効である。
現在の相続税の税制においては、暦年贈与を行う場合に被相続人、すなわち財産を持っている側が亡くなる3年以内における贈与は、相続財産に計上され相続税の対象となる。
この「3年以内」という期間を「5年以内」と延長し、相続税の対象となる贈与を多くするという税制改定が検討されている。
エコカー減税の縮小
現在の自動車の税制において、ハイブリッド車やEVについては自動車重量税を減税する「エコカー減税」が運用されている。このエコカー減税の対象車種の減少や減税幅の縮小が行われる見込みである。
退職金所得控除の低下
現在の税制では退職金の受け取りに際して、勤続20年を超えている場合は勤続年数の長さに比例して、退職金にかかる所得税が控除されるという「退職金所得控除」が行われている。
この退職金所得控除について、勤続年数の長さを考慮せず、一律に税金を徴収すべきではないかという意見がある。つまり、現在より勤続年数が長い方が受け取る退職金にかかる所得税が増える可能性がある。
配偶者控除の撤廃
年収が103万円以下の配偶者がいる場合、扶養している側の所得税が減税されるシステムが「配偶者控除」。夫が会社で、妻がパートで働いている共働きの家庭などで利用することができる税控除だが、これについて廃止が検討されている。
たばこ税
令和3年10月1日より増税されたたばこ税。防衛費などの税源としてさらにたばこ税を上げることが検討されている。昨年税を引き上げたばかりのため、期間は空くだろうが健康増進という大義名分と、喫煙者がたばこを止めることがなく集めやすいぜいきんであるということからさらなる増税は十分考えられる。
まとめ
以上が今後増税される可能性のある税金の解説となる。もちろんこれらはまだ予想にすぎず、どの程度の増税が行われるかは分からない。しかし、増税の可能性はかなり高いだろう。岸田内閣の動きに注目していこう。
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